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地方創生 新規事業企画

特産品は必ずしも生産量や名物を活かしてつくることはないんじゃないか

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Facebookに個人として書いたのですが、もう少し書きたくてこちらにも。

FBに書いた内容はこちら。

特産品のことを考えていて、僕の地元に「みそぎの舞」という日本酒があって。
北海道は南にある新幹線が通り始めた木古内のお酒なんだけど、実は1つの農家さんがつくるお米でしかない。他の農家さんはその品種作ってないんですよ。
ストーリーとして、姉妹都市山形は鶴岡の酒造にお願いして作ってもらい、寒中みそぎのイメージが浮かぶからこそのお酒だから、良い。
しかし、かなり町の産業や特性としてはニッチな特産なはずが、お酒が旅をしていくので、木古内にはみそぎという文化があり、鶴岡と姉妹都市であり、お米も作っているような情報が伝わっていく。
考えてみれば、銘菓や名産品、特産品っていうものは、かなりニッチなものから始まり、その地方のイメージさえ変えるほどのものとなっているのではないかと。赤福、白い恋人、明太子、牛タン、ルタオ、ニッカウイスキー。必ずしもその地の名産を活かして作った訳じゃない。

何が言いたいかというと、その地の生産量が多いからこの名産をつくるという事である必要はなく(仕入れやすいとかイメージつきやすいことはあれど)、
まずは美味い事から始まり、販売量が安定して出せるか、極端に少ないかで決まるのでは、と。
持って帰りたい、誰かに食べさせたい、見せたいと思わせる何かがある。今でいうバズるは、まさにコレ。結局コミュニケーションのためのネタになる。

方法論にまで落とし込むと途端につまらなくなるので、再現性はそんなに意識したくはないけど、地域の名産品づくりをしたい人に何かヒラメキがあれば良いなと思って。

コメントで、「ラッキーピエロ、函館五島軒、小樽なるともそうですね」と頂いたように、北海道で考えても産地と特産品は必ずしも同じものではないという事。

函館では、イカの珍味生産を大量に行っている。全国のコンビニにある「あたりめ」は函館産の可能性が高い。
しかし、稀に見るイカの不漁により、函館近郊で獲れるイカが確保できず、焦って海外産を使用したいとなったが、いわゆる「生産者を守る為の法律や条例」によってイカを輸入する事に時間がかかってしまったという、TPPの先に見える事柄もありました。

産地での競争は起きやすい

北海道のフルーツの産地である余市・仁木エリアを例に考えると、ぶどうやトマト、さくらんぼが文字通り山ほど生産されている。特産品としてフルーツそのままであるのはもちろんのこと、ジュースやドライフルーツなども特産品のひとつです。

産地では、原料を潤沢に揃えることのできる環境であるため、ジュースにすることは「カンタン」。横並びで同様の商品が出来上がる。つまり、原料さえ手に入れば「誰でもつくれる」(言葉をまったく選ばずに言っています)ということ。工夫するのは、パッケージと物語と価格になる。

この状況で、目立つにはどうするか?という形で競争が始まる。価格を安く、もしくは極端に高く設定して、それぞれの販路を確保していく。お客さんにとってみれば、「どれが美味しいのか」は見分けがつかないほど。販路を確保できているところが安定して売ることができ、時間もなく努力が追いつかないところはいつの間にか「娯楽でやっているから」と副業扱いになる。味は美味しいのに……。

余談ですがここに、デザインを工夫すればどうにかなる!という形でデザイナーが入ってきたりもします。デザイナーという業界は、多くは「デザインソフトを使えるオペレーター」というのが悲しい現状であり、販売価格が無駄に高くなってしまうこともあり得るので生産者はよくお選び頂きたい!(販路確保が先かもしれません)

産地とは関係なくはないが、関連づける必要性もない

消費者に届けるのは野菜や魚そのままであるのも良いけど、素材のままで持って帰ることは少ない。ましてや加工する手間を省きたい現代ですので、「特産品は加工品である」と位置付けてから話を進めます。

新たに何かを生み出すとした場合、産地であるかはさほど関係がありません。しかし、それを彩る周辺のモノは近隣産であることが多い。

ラッキーピエロは、地産地消を謳って地域の食材を使用しています。チャイニーズチキンバーガーの鶏肉も北海道産ですが、自社生産であるか、函館が鶏肉の一大生産地であるかは関係が無い、ということですね。

特産品としては、無理にその町の名産を探して入れ込む必要がないのです。

生産が多いという場合、どういうことかを想像してみますと、一大生産地であるということは、農家や漁師が安心してそれで食っていけるほどの売り先があるから生産し続けています。つまり、卸先がある。卸売をしている業者も多数いるはずです。遠くのスーパーでも手に入ったり、地元の名前が入った加工品をどこかで目にすることがあるかもしれません。

例をあげると頭がそっちにもっていかれてしまうので、このままいきます。再現性(真似できるか)よりも、抽象的な感じでイメージ頂きたいので!!

大手と勝負しない

大手業者に負けないように頑張る。これほどツライものはありません。おそらくこれを読んでくれている人は、地方の中小業者か一発当てたい人かと想像します。もしくは大手企業にいる商品開発部門の担当者でしょうか。

大手と中小の戦い方の違いは、明確にしておきましょう。

大手企業=一括仕入れ、自社工場による大量生産、自社流通システム、潤沢な広告費

です。これが安くつくることのできるメリットであり、多く売ることのできるメリットでもあります。
こんな事に付き合ってたら、そりゃ勝てませんよ。。

対して、中小企業がメリットにできるのは、マニュアル化しにくいニッチなものを、手間かけて細やかに生産していくしかない。戦わないんです。

ニセコで頑張っている「HIKOBAYU」は、香りの原料となる材料の採取→自作蒸留機による製造加工→直販or卸販売しています。蒸留機を買うというところから考えたら相当高価なもの。材料の採取は、業者に依頼すると原価として合わない。
だからこそ、蒸留機も自作してかなり安くつくることができていますし、材料の採取は自分たちで別の作業を兼ねているので依頼していない。これが、大手には出来ない戦い方のひとつです。
競合はエステー、と考えるかもしれませんが、戦う相手じゃない。仮に香り成分のエッセンシャルオイルなどを卸販売した場合は、エステーと価格比較されてしまうかもしれないけれど、小規模な事業者が急に大手と競合の位置に立てるほどの戦い方ができてしまったりもします。

このあと、要はブランディングだという答えを待っていますか?いや、販路だという答えを待っていますでしょうか。残念!どちらも違います。
ブランディングや販路よりも、あなたがいま行う企業規模に対するバランス感覚を持つことが答えではないか、と考えます。

企業規模に対するバランス感覚とは

ブランディングがすべてだ、とコンサル先生に言われたことがあるかもしれません。もしくはデザインだ、と言われたかもしれません。
ブランディングとかデザインなんてそんなもの、卸売をする場合関係無いです。売った相手がやることです。あなたの立ち位置は、原料の供給もしくは加工の途中までの場合も大いにあります。

6次化という言葉が生み出されて少し月日が経ちました。一次産業×二次産業×三次産業というのが6次化です。
要は、原料の生産から加工、販売まで全てを自分の企業の中でやる事を指します。先進事例なるものを、各地視察に行ったり、見かけたことがあるかもしれません。そして、「俺には真似できないな」と思って帰ってきたかもしれません。

ある程度先代までの時点で基盤があり、加工は他人に任せていた、もしくは販売だけ大手にお願いしていた、という企業なら6次化というのは進むべき案件です。それでも、自分たちで加工するのは、生産原料の一部のみである事を知るべきかもしれない。自社で全て賄う程度の原料しか生産していないなら、もし自社生産してコケたら終わりです。大手への卸販売は継続した方が無難。

まあ中堅企業はこんな心配はないので、中小や一発当てたい人に対して書いていくと、

自社の企業規模に合わせて、販路開拓とブランディングをするか決めていきませんか?という事。

①生産・加工・販売をしている場合

現状、自社で全て生産から加工、そして販売までやっているとすれば、特産品をどうするか考える以前に、原料として提供できる相手を探していく事を考えた方が良い。どういう事かというと、加工したところまでで、パッケージとか無しに買ってくれる相手はいないかを探してみましょうということです。
現在自社商品が販売に悩んでいる、値段を下げなきゃ買ってくれないという状況なら、自社でデザインなんかしなくて良いし、デザイナーに依頼なんてしなくて良い。相手として想像するなら、販売だけやっている業者、もしくは競合としている大手業者が取引先です。パッケージのデザインは相手次第で、加工した部分までの利益で売ってしまえば良い。今、若手の人たちならネット販売も普通にやれるし、デザインも自分でやります。売れなかったとしても、(言葉を選ばなければ)関係がない。

競合が増えて不安ですか?本来、これは負けるはずがない戦いです。仕入れ値より相手は下げられませんので、価格勝負になることはほとんどありません。ブランディングを売り先がうまくやってくれれば、その商品自体の売値は上がります。

②生産・直販だけしている場合

生産して加工をせず素材を直販している場合は、どこかに商品を置いて手数料をとられる事に疑念を抱いていることも多々あります。自分で売れば、1000円になるのに、道の駅やスーパーに置いたら300円取られて700円しか手元に残らない、と考えてしまう。
売れない売り場に置くのはもってのほかですが、人件費が直販のときもかかっていることをお忘れなきよう。あなたが生産するのに集中して考えたいときにも、お客さんから問い合わせがあって発送作業が生まれます。これは、まぎれもなく人件費。スーパーなら、納品して終わり。市場などであれば、集荷にきてくれることもあります。そう考えたら、販路はBtoCだけでなく、色々あると思いませんか?これは販路とは関係なく、人にお金が持っていかれるのが嫌な状態であるのみ。SNSを使ったブランディングもさほど必要ありません。

③加工・販売だけしている場合

飲食店も、この加工・販売にある意味含まれます。いわゆる販売のプロです。特産品はこの方たちが主につくります。特産品というものを生み出すならば、自分たちの持つルーツを探すことから始まるのかもしれません。ブランディングもある程度必要ですし、販路開拓として周知する必要もあります。どこかに置いてもらうような特産品がつくれた場合、売り方も工夫しましょう。マルシェに出ていくのも良いかもしれません。小回りがきく事を存分に活かして、大手とは違った戦い方をしていきましょう。
山ほど獲れるものがその地にある場合、それを同業者含めてみんなで売ることもできます。その反面、手に入りやすいということは差がつけにくいということでもあります。仮に地元に愛されるお店にしようと思った場合、家に山ほどある材料をその素材のまま提供して、お客さんは喜びますか?加工と販売の技術が問われます。ブランディングと称して価格をあまりにも上げたりすると、地元の人は買いません。
観光客のみを相手にしていたら、天災などで観光客が訪れなくなったら厳しい。地元に愛されないお店は、観光客目当ての商売として見透かされ、口コミがたんまり書かれます。

特産品つくるにも、役割がある

全員が特産品づくりに勤しむ必要なんて、ないと思うんです。それを言いたかった。役割があって、それぞれの置かれている状況を元に、自分たちが食えるかどうか、やっていけるかどうかから始まり、特産品づくりは人に信頼して任せるというのがあっても良い。

大手と戦っていく事になったら、大量供給できるかとか広告をどうするかとか、様々な話が出てきます。

特産品をつくるならブランディングやマーケティング、販路の確保が必要ですが、必ずしも自社で全て行うことはなく、さらには多く生産されているものが必ずしも特産品として加工することもない。工夫するのは、やはり三次産業にいる人たちがメインであり、これから参入していく一発当てたい人たちなのではないか、と思うのです。。

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しゅんみや(宮嶋瞬)

関東から北海道へUターン。ホムデ代表理事、北海道ワカモノ会議 発起人、NISEKO.CITY 主宰。北海道に対する偏った愛情により、「ホームタウン(故郷や移住先)を愛してほしい」という想いで活動している。北海道への移住対応(空き家情報提供・自治体とのコラボ・仕事づくり・起業を応援)やマッチングなどを幅広く行い、自治体との協働事業なども実施。

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